なぜ今、有用安全なのか?
2001年に厚生労働省より発令された「機械の包括的な安全基準に関する指針」は、2006年の労働安全衛生法の改正に合わせて、2007年に第2版へ改正されています。同指針は「ISO 12100 機械類の安全性-設計の一般原則-リスクアセスメント及びリスク低減」に基づいており、機械装置に対するリスクアセスメントが始まってから17年が経過しました。
同指針は機械メーカーや機械ユーザーが所属する多くの産業団体に向けて発令され、各産業団体に加盟する大手企業では、機械安全を日常業務や安全活動として取り組んできました。その流れに合わせて安全コンポーネントの商品化が進み、高性能・多機能で安価なものが入手できるようになり、機械装置の安全化は着実に進んでいます。
しかし、主たる保護方策はガード・インタロックなどの安全防護であるため、対象とする機械装置は無人・自動で稼動できるものに留まっており、有人・手動で稼動する機械装置の安全化は思ったように進んでいません。同指針が産業団体に所属する比較的規模の大きな企業に向けて発令されたこともあり、安全防護が適用しにくい機械装置の多くを製造している中小企業メーカーでは、安全化の取り組みは未だに低調です。
安全防護を適用できない有人・手動で稼動する機械装置では、人間工学を考慮した本質的安全設計方策と補完的保護方策が必要で、そのような保護方策が中小企業メーカーへの機械安全の普及に繋がります。この課題に取り組むため、新たに設立する団体が私たちSPUS 有用安全工房で、機械安全を適用する機械装置の対象範囲を拡大し、中小企業メーカーの競争力向上を支援していきます。
2024年7月1日
SPUS 有用安全工房
リーダー 保科修一